お酒全般 ワイン

ワインは高い方が美味しいの?いえ、そうとも限りません。

 

・ワインって高い方が美味しいんでしょ?

・古いワインの方がいいって聞いたんだけど

・予算1万で贈り物にしたいんだけど1本か2本どっちがいい?

 

イズム

酒屋を26年以上していると店頭でいろいろな質問をいただきます。

特にワインはタイプ、産地、ぶどう品種、ヴィンテージ・・・と選択の幅が広いので、購入する方にとっては慣れていないと大変です。

 

 

 

 

失敗しないワイン選びを伝授します。

今回は「ワインの価格はなにで変わるのか?」と、自分用かギフト用で選び方が変わるポイントをお伝えしようと思います。

 

安いワインと高いワインにはそれぞれに魅力があるので、そのポイントをおさえて失敗しないワイン選びを身につけちゃいましょう!

 

 

酒屋歴26年になりました。

私はワインに特化した酒屋を26年以上経験しており、これまで数え切れないほどのお客さまとの接客の中で、ワイン選びのお手伝いをさせていただきました。

 

そこでよく聞かれる質問の中に「高い方が美味しいんでしょ?」「古い方がいいんでしょ?」というものが多かったので、それらについてお答えします。

 

 

ワインの価格はなにで決まる?

ワインほど価格に差があるお酒はほかにないのでは?といえるほど500円以下から数百万まで差があります。ここではワインの価格がなにによって変わるのかをご説明します。

 

ワインの価格に影響するもの

おおむね次の6つの影響が大きいと思います。このほかにボトル、コルク、ラベル、ケース箱などありますが、そこまで大勢に影響はありません。

 

しいて言えば最近はケース箱がやたらと薄い段ボールになっていたり、以前は立派な木箱に入っていたワインも段ボールに代わっていたりとコスト削減が目立ちます。

 

・ぶどう

・人件費

・醸造

・熟成

・希少価値

・運賃

 

 

ぶどう

やはり一番価格に影響を与えるのは原料となる「ぶどう」です。日本酒やビールなどと違い、水を一切加えないワインは特に品質への影響が大きいので、ワイン作り=ぶどう作りといっても過言ではありません。

 

ではどのように価格に影響するのか?

・栽培する土地代

・同じ面積に植えるぶどうの木の数

・1本の木で育てるぶどうの房の数

・収穫方法

 

 

◆栽培する土地代

フランスのボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュなどワインの銘醸地の名前を聞いたことあると思います。このような土地で栽培されるぶどうと、どことは書きませんが名前も聞いたことがないような国や産地で作られたぶどうでは価格に差があるのは仕方がありません。土地代がワインに含まれている思ってください。

 

◆同じ面積に植えられる木の数

一般的にぶどうの木は1坪に5本植えられるとされていますが、この数を減らすことによってより良いぶどうを作る方法があります。同じ面積で収穫できる原料が減るのでその分価格が上がります。

 

◆1本の木で育てるぶどうの房の数

1本の木から約8房のぶどうが採れるのですが、やはり先ほどの木の数と同じように、育ちの悪そうなぶどうを剪定し良いぶどうだけを残して、畑の栄養を集中させる方法があります。ドンドンぶどうの数が減っていきますね・・・そりゃ高くなります。

 

◆収穫方法

機械を入れてゴッソリ収穫する方法と、一つ一つぶどうの状態を見ながら手で収穫する方法では効率がまったく違います。もちろん機械での収穫が悪いわけではないのですが、大型農業で大量生産すれば価格に差が出てきます。

 

 

人件費

先進国と途上国での人件費の差はもちろんありますが、良いワインを造るには機械に頼らず人の手で行う工程が増えてしまいます。また、権威のある有名なワイン醸造コンサルタントを雇ったりすると人件費が上がります。

 

 

醸造

ぶどうの大型農業、大量生産の先にあるのが大型醸造です。大きなタンクで一度に大量に造ればやはり価格は抑えられます。一方で高いワインは小さなタンクで人の手を使って、それこそ手間暇かけて作られます。

 

 

熟成

良いぶどうで造られたワインは長期熟成に耐えられます。そのため出荷するまでワイナリーのいい状態で熟成させられることがあります。その間は販売できないので収入がありません。この熟成期間が価格に加算されていると思ってください。

 

 

希少価値

需要と供給のバランスで価格は変動します。ブルゴーニュを代表する高額ワイン「ロマネコンティ」は決められた区画のぶどう畑しかないので、おのずと造れるワインの本数は決まっています。数は増やせないが需要は増える一方だと価格は見る見る上がっていきます。

 

また、近年の例ですとフランスのボルドーやブルゴーニュのワインは全体的に高騰が続いていますが、原因のひとつが「中国やインドで大量に消費されはじめたから」といわれています。日本では焼酎の「森伊蔵」や日本酒の「獺祭」などで同じ現象が起きています。

 

運賃

ワインの産地では「水よりワインの方が安い」なんて言われますが、やはり酒税や運賃によって様々です。国内で消費するなら運賃はほとんどかかりませんが、日本まで運ぶとなると大変です。

 

産地の国内運賃、船便or航空運賃、日本の国内運賃、問屋から酒販店までの運賃などがかかります。毎年11月第三木曜日に解禁となるボジョレヌーヴォーはほとんど航空便で届くので、ワインの価格も跳ね上がってしまいます。

 

 

高いワインの方が美味しい?

店頭で質問される頻度が多いのがこの「高い方が美味しいんでしょ?」です。私は決まってこう聞き返します。「ワインはよく飲まれるんですか?」この返答によって私のおすすめするワインを変えていきます。

 

お客様の経験によります

◆お客様が初心者の場合

お客様:「ワインはほとんの飲んだことない」

わたし:「高いほど美味しいという訳ではなくて、逆に土臭かったり味が複雑すぎて最初は美味しいと感じない場合が多いです。まずは赤ワインなら〇〇、白ワインなら〇〇を飲んでみて下さい。」と1,000円前後の飲みやすくて分かりやすいワインをおすすめします。

 

◆お客様が中級者~上級者の場合

お客様:「たまに飲んでる」「よく飲んでる」

わたし:「やはり高いワインでないと味わえない繊細な風味とか、熟成しないと出てこない枯れた香りとすこしネットリとした舌触りは楽しめないので、ワインを飲みなれている方にはおすすめです。」

 

結論は『同じ高いワインでも、初心者には美味しくなくても、中級者、上級者には美味しく感じる』です。

 

子供のころはピーマンやニンジンが苦手でだったり、辛味調味料の「わさび」や「からし」も大人になって好きになる人が多いです。これは舌の感覚が変わるからといわれていますが、ワインも同じようなことだと思います。

 

 

自分用で購入するときのポイント

自分用に高いワインを購入する際は、それこそ『自由』です。結局ワインは飲んでみないと分かりませんので(笑)いろいろと挑戦するしかありません。

 

ただ、闇雲に買うのは危険ですので失敗を減らすには勉強するしかありません。高級なワインは必ずインターネットに情報が載っているので、今まで自分が飲んできたワインの経験をもとに好みの傾向を思い出しながら選んでください。

 

 

ギフト用で購入するときのポイント

ギフト用で購入するケースの方が難しいです。なぜなら送る相手がワイン初心者なら、先ほど説明した通り「高いワイン=美味しく感じない」場合があるからです。

 

ギフトを送るという事はお世話になった方へ「お礼」や「お祝い」だと思うので、喜んでいただかなくてはなりません。

 

もし送る立場の方が相手先さまの情報を知っていたら、その情報を元にワイン選びのお手伝いをさせてもらいます。

 

本数でやグッズで調整したりできます

場合によってはお客様の希望が最初は「予算1万円くらいでいいワイン1本」の場合でも「赤と白を1本ずつとソムリエナイフのセット」に変更させていただくこともあります。

 

逆に40代、50代でワインには詳しいらしい!という情報を頂ければボルドーの有名シャトーやブルゴーニュの有名畑のワインを1本ご案内することもあります。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょう?

ワインは価格と比例して美味しくなるわけではなく、経験によるところが大きいです。知れば知るほど味わいの幅も広がるのがワインの楽しみでもあります。

 

ワイン沼にハマるとなかなか抜け出せなくなり、散財してしまうかもしれませんので気を付けてくださいね!

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